『パレード』吉田修一

都会に住む男女の若者4人の共同生活を描いた話。何だか普通の若者たちの、濃密なような淡白なような繋がりで、充実してるような、淡々と流れているようなありふれた生活。

ずっとこんな感じで終わるのかなー思ってたところに急展開があったときは、エッと声が出るくらい何が起きたか分からなかった。

この件と、少し前から共同生活に入ってきたサトルによって、この物語からのメッセージが浮き彫りになってきたような気がする。

「多様性」という言葉がよく聞かれるようになったが、受け入れられる範囲はそれぞれ異なるし、そういう問題じゃないでしょっていう話もある。

自分に置き換えてもそうだけど、ダメなところも周りの人に許されてたり、好きにやらせてもらってるところがあるし、隠してるような闇もある。相手に対してもそう。多様な相手を受け入れるにも、度量とか好みとかタイミング等もあって決めるんだろうけど、本当のところは相手が自分から見せてこないと本当にわからない。自分の世界は自分の中にしか無い。

そう考えていくと、結局この物語のように、みんながそれぞれ勝手に生きていて、たまたま人生の一部分で交差してるみたいな関係がいいのかもしれない。